Vol.3 売れる経理屋

さすらいながら学んだ経理屋の
ノウハウをお伝えします

経理屋はキャリア・アップへの近道

これから2回は、キャリアとしての経理屋、を考えてみます。
まず今回は明るい話題、「経理屋はキャリア・アップへの近道」から行きましょう!
まあ「今回は明るく」、と来れば次回は暗い話と決まっていまして、本編の次は、「でも多くの経理屋はキャリア・アップを自ら捨てている」という話もしたいと思います。

さあ、なぜ経理屋はキャリア・アップの近道なのかを考えてみると、3つのハッキリした理由がある事が判ります。

1. 経営に極めて近い業務だから

会社の業績を図る基準は何と言っても損益です。損益を出すのは経理屋です。優秀な経営者になればなるほど、経理屋が算出した数値を大切にします。
それは何故でしょうか?
これまた3つ理由があると思います。

まず第一に、会社が赤字だとその会社は中長期に渡っては存続できませんから、会社経営者は損益をきちんと見極める必要があるためです。それに加え、経営者は会社を成長させるために、社内でどの部門の損益が良く、どの部門が悪いかを見極め、損益の良い部門を大きくし、赤字部門を縮小せねばなりません。これを実施するには、経営者は注意深く会社の損益計算書を読み込む必要があるためです。

第二に、経営者は経理屋と協働し、カネ回りを見る必要があるからです。会社は黒字でも、カネが回らなくなると、会社は一瞬にして潰れます。また、会社を成長させようと思うと、多くの場合先行投資(=カネ)が必要となります。成長途中の会社が、陥りがちなのがこの資金ショートというやつで、このため、経営者は常に会社の資金状況の安全性も確認しておく必要があり、これを把握しているのが経理屋です。

そして第三に、「会社の値段」の出し方が、経理基準中心に移行している事があります。
昔に比べ、企業買収はありふれた光景となってきました。この背景には、「自分の会社、今いくら?」とか、「競争相手の会社を買うとしたらいくらか?」と言った話が、一般化した事が挙げられます。この算出方法なのですが、簡単にまとめてしまえば、「今、いくら利益を上げてる?」が基準となり、これに「将来こうなりそうだ」という要素をスパイス的に加味して、その算出結果に10倍程度を掛けた数値会社の「価値」なのだ、という事なんです。なんかバカっぽいですよね?でもこれが現実です。もちろん、「将来こうなりそうだ」を出す技術や、10倍でなく8倍だといった議論はありますが、正直言ってそこにそれほど深いノウハウがあるわけではありません。なんだかおかしな議論なのですが、現在の会社買収の議論は結局こんなところが中心で動いており、そうなると、会社買収という最も経営者に近い所で動く業務は、経理屋中心になっている、というのが最近のトレンドなのです。

2. どの会社でも経理は基本的に同じだから、融通が利く

次に、損益の出し方ですが、これは世界中、ほぼ統一された方法で計算しています。GAAP(Generally Accepted Accounting Principle、一般に公正妥当と認められた会計原則)というものが定められていて、これに則って損益を出すことが定められています。日本のGAAPとアメリカのGAAP、欧州のGAAPに違いはあり、これが損益に大きな影響を及ぼす事はあるにはある、のですが、計算方法そのものには大した違いはありませんし、原理は全く同じと言っても過言ではありません。更に、この計算方法は、業界が違っていても基本は全く同じです。まあ当たり前ですよね、ソニーとトヨタの損益の出し方が違っていたら、どの業界が儲かっているか、損しているかも判らなくなります。損益算出の基準は同じでなければならないのです。会社や業界ごとで違ってはいけないのです。

3. だから転職しつつキャリア形成するには他の職種に比べて有利

という事になると、経理屋というキャリアは、転職しつつステップアップして行こうという方には、絶好の職種と断言できます。会社側も、純粋培養の経理屋も良いのですが、少なくともある程度は違うキャリアを積んできた優秀な経理屋も雇おうとする傾向があります。また、転職する場合、たとえば営業職では、自分のいた業界でないと「風景」が全く異なってしまい、「使えない社員」になってしまいがちですが、経理屋は転職しても、GAAP、損益計算書、キャッシュフローと言った「見慣れた風景」を背景に働き続ける事は確実なので、業界の垣根を飛び越えての転職が楽なのです。その反面、自分にとって身近な業界に転職しようとすると、「競業避止義務」という規定が大抵の会社にあって、例えば「マンパワーから同業他社には5年間転職禁止」と言った規定がある会社がほとんどなのです。この競業避止義務、本気で争えばその効果は会社にとっては疑問な点も多いそうですが、たとえば営業系の方が転職する場合、「自分にとって縁遠い業界では売れない、しかし身近な産業には競業忌避規定があるから売れない」という苦しみが付いて回る事になります。
経理屋には、この苦しみはほとんどありません。私が経理屋としてかなり広範な責任を持った事業のみを上げても、①電子部品メーカー ②小売サービス ③感光剤メーカー ④飲料メーカー ⑤商社 ⑥人材派遣 ⑦コンサルティングと7業種に及びます。しかも、どこの業種に移ってもほとんど驚いたりすることなく仕事が出来ています。

と、いう訳で、経理屋、いい仕事ですよ!
今回はこの辺で。
でも次回は、多くの経理屋はキャリア・アップを自ら捨てている、という話をします。これもお楽しみに。

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プロフィール

井筒 廣之
1984年、日系メーカー入社。経理屋として仕事を始める。
1990年、社内ベンチャーに挑戦、一応成功する。
1997年、メーカー退職、本当のベンチャー企業に挑戦。資金難で「胃が口から出そうな」苦しみを味わう。
1999年、大手飲料会社の管理課長として転職。管理部長に昇進。
2004年、商社CFOとして転職。
2007年、マンパワー・ジャパン(現マンパワーグループ)入社。
2014年、取締役代表執行役社長退任。

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