Vol.9 売れる管理部門・管理職

さすらいながら学んだ経理屋の
ノウハウをお伝えします

「売れる経理屋」から「売れる経理・管理職」へ

今までの8回連載では、「売れる経理屋」とは何か、を「具体的な仕事の進め方」として考え続けてきました。
さて、ここから少し歩を進めましょう。「売れる経理屋」というテーマ自体、転職を意識したシリーズです。転職市場で生きてゆく以上、ステップアップを必ず意識すべきです。経理屋としてのステップアップは、当然のことながら経理管理職になる事です。今回は、「売れる経理屋」としてスキルを身につけて頂いた方が、「売れる経理・管理職」になるために、どう身を処したら良いのか、を考えてみます。

まず経理系の方への朗報です。
経理は転職市場の「王道」だと思います。
と、言いますのは、「売れる」と言う以上、「転職可能」な仕事、と言う点が重要です。
その点、経理は「どの会社も財務諸表や予算があり」、「その作業原則は、日本はおろか、世界中がGAAPと言うルールで統一されていて」、その上「経理は経営と直結したツール」です。これは他の管理系部門にはない長所となっています。私自身、結局35歳から4回の転職は、全て「経理管理職」として入社しています。それは、私自身を「経理管理職」として売り込むのが最も簡単だったからです。では一体、何を売り込んだのでしょうか?
以下は、私個人の話ではなく、ほとんどの経理管理職として転職された方に当てはまる話としてお読み頂ければ有り難いです。

1. 「売れる経理屋」で述べた(ような)事が体に染みついている事

「売れる経理屋」シリーズは、私が経理屋として必要、と確信している事を書かせて頂きました。そこで述べた事が絶対、と言う訳ではありません。一方、多くの経理系管理職の方から、私のメッセージを肯定的にご評価頂きました。経理管理職の目から経理社員を見た場合、一般的には、経理知識は、簿記3級程度の知識がしっかり身についていれば充分で、より重要な事は「仕事の進め方」がしっかりと身についている事、それなのにその「仕事の進め方」が身についていない経理社員が非常に多い、と言うのが現実だと思います。この「経理屋」からステップアップを目指す場合には、当然、経理屋としての「仕事の進め方」が身についている事が重要です。

2. 売れる「ツール」がもう一つある事

私自身の人生を振り返り、正直に申し上げますと、経理屋として仕事がそこそこできる、と言うだけでは転職人生を泳ぎ続けるのは不可能だったと思います。私の場合、「英語」と言う売れるツールがあり、この英語と、そこそこの経理知識を組み合わせて世渡りしてきました。多くの経理屋も同じ組み合わせで世渡りをしています。この「英語ツール」、TOEICで900点位、あるいは英検1級位だと、かなり力のあるツールとして機能するようです。経理が判らない方(私の定義では、「ディープな経理話をしている時に、頭がdebit / creditになっていない方」を指します)でも、英語ができれば、かなり「持ってしまう」のが日本での経理社員転職市場の実態だと思います。要はそれほど重要なのです。また、転職市場を渡り歩く場合、外資系を排除して考えると、非常に選択肢が狭まります。
語学はただ鍛錬あるのみです。鍛錬さえすれば必ず点は上がります。是非頑張って下さい。
え、語学が苦手ですか?そうなると人事や、情報システム、法務などの「合わせ技」が次の選択肢でしょうか? 「しかしやっぱり英語でしょう、結局」、と言うのが私の意見です。

3. 「茶坊主」業が苦にならない事

茶坊主」とは、室町・江戸時代において、将軍や大名に対し茶室・茶席の管理、給仕、接待を行う者の総称で、日常的に広く諸大名と接触し相談役的な仕事を担っていたことから様々な情報を得られる立場となり、大名達の潤滑油のような役割を果たしたり、政治に口を挟んだりすることもあり、身分を超えて重要視、さらには畏怖される存在となることもあったとされています。経理管理職は、まさに「茶坊主業」です。一方、「茶坊主」はネガティブな意味合いとして取られる時が多いのですが、私の言う茶坊主は、「会社側に立って物事を考える」姿勢を常に自覚しつつ仕事をする、と言うポジティブな意味合いです。私より、経理屋としてはよほど優秀なのに、この「茶坊主」姿勢がないがゆえに非常にもったいないないなあ、と思う方が多くおられます。
私も偉そうに評論できる立場ではありません。私の過去4回の退職事例を振り返ってみますと、この「茶坊主魂」を失ったために会社を去ったのが私の4回の退職回数中、3回を占めています。うーん、重要です。

4. 長時間勤務をいとわず、仕事を愛する事

何だ、結局根性論か、と思われるかもしれません。はい、ある意味そうです。
部下の「いけてない書類」から、ストーリーを組み立て、再提出を命じ、時には自ら仕事をすれば、自然と長時間勤務になります。また、社長の無理難題を社長の立場に立って考え直し、それを具体的な数値に落とし込む作業も、長い時間が必要です。それに加え、時間がたつのが苦にならないだけではダメです。前向きに考えないと良い案は浮かんできません。案が出てこないと「結局あいつは経理屋だからな…批判ばかりだ。」と言われます。
上司・同僚・部下の皆が納得感のあるアウトプットを、他人が出せていない中で自分が出す訳です。簡単ではありません。特に経理管理職の場合は、ストーリーを数値化し、それを判りやすい表にし、主文を考え…。 要するに時間がかかるのです。時間をかけても前向きに頑張ろうと思うためには、仕事を愛している部分がないとダメだと思います。
その一方、「対人スキル」とか「リーダーシップ論」などは、「あとから付いてきたり、学んだりすれば十分キャッチアップ可能」と考えています。経理屋の場合は、仕事の中で表やロジックの占める部分が大きいのでなおさら、と思っています。

今回は、「売れる経理屋」を一段進め、「売れる経理・管理職」を考えてみました。次回以降はこれをシリーズ化し、「売れる管理部門・管理職」を考えてみたいと思っています。

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プロフィール

井筒 廣之
1984年、日系メーカー入社。経理屋として仕事を始める。
1990年、社内ベンチャーに挑戦、一応成功する。
1997年、メーカー退職、本当のベンチャー企業に挑戦。資金難で「胃が口から出そうな」苦しみを味わう。
1999年、大手飲料会社の管理課長として転職。管理部長に昇進。
2004年、商社CFOとして転職。
2007年、マンパワー・ジャパン(現マンパワーグループ)入社。
2014年、取締役代表執行役社長退任。

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