Vol.11 売れる管理部門・管理職

さすらいながら学んだ経理屋の
ノウハウをお伝えします

売れる管理部門・管理職 ~ITマネージャー~

さて、「売れる管理部門・管理職」シリーズ、今回は「売れるITマネージャー」について考えてみたいと思います。

前回もお話させて頂いた通り、経理・IT・人事のマネージャーに関して、「売れる管理職の条件」としての共通項は、以下の4点かと思っています。

  • ① 自分の上司の意向に沿って話の展開を考えられる
  • ② 業務遂行に必要な知識がある(具体的には、専門領域と英語)
  • ③ アクションプランを創る能力がある(PDCAの輪を回せる)
  • ④ 人材紹介ビジネスの方を4人(=4社)程度、友人として持つ

これらの4条件のうち、①から③がITマネージャーにとってどういう事なのかを考えてみる、と言うのが今回のテーマです。

まず、①の「自分の上司の意向に沿って話の展開を考えられる」、ですが、ITマネージャーとして特に必要とされる要素は、(1)自社IT体系の把握ができ、それを説明できる事と、(2)全社戦略を踏まえつつ、自社IT体系を評価でき、どこを改善すべきかを説明できる事、に加え、(3)上司への報告はテクニカルな話を極力上げず、(1) (2)に集中する、と言う辺りかと思います。(私としても、「マンパワーグループのIT体系の一覧表と最近の変更点」が「定期的に」出てきたら、大変ご機嫌になります。)

上記の中で(3)は要注意でしょう。ITはテクニカルな説明をすればするほど、非IT系の上司から嫌われます。ITマネージャーの皆様、「売れるITマネージャー」になる、と言う事は、「テクニカルな説明を少なくする」、とほぼ同義語だと思って下さい。大変申し訳ありませんが、あなたの上司は、IT知識がほとんどゼロな上、知ったかぶりをしつつ、更にITを学ぶ気など全くないのです(すみません)。そんなあなたの上司に、テクニカルな事を説明すれば、どんなに丁寧に説明しても、「あいつはIT風吹かした上から目線野郎だ」とレッテルをはられる可能性が大だと思います。(狭量で再度すみません。)

次に、②の「業務遂行に必要な知識がある」に関しては、ITマネージャーの場合、「個別システムの全社的な位置付けを把握した上で、その現状と課題を認識し、どうすればどの程度課題を改善できるのか」の把握が重要になります。システム改善は手間と金さえかければ、無限に改善できます。一方、会社の資源は限られていますので、どのシステムのどこを改善すれば最も効果的かを把握、説明、実行できる能力が問われます。ここでも、テクニカルな課題が如何に会社としての課題となっているかを、なるべく技術的な話をせずに説明する力が問われます。

また、ITシステムは必ず「落ちます」ので、個々のシステムトラブルの際、迅速に、きちんとトラブル対応ができる事と、関係各所へのコミュニケーションができる事も非常に重要です。

上記に比べれば、個別具体的なIT知識は、ITマネージャーにとってはあまり必要とされないケースが多いと思います。更に経理と異なり、IT関係の知識は陳腐化が非常に速いので、あまりテクニカルな事に特化したマネージャーは、その技術の陳腐化とともに自分の価値も下がってしまうので、注意が必要です。

次に行きましょう。③の「アクションプランを創る能力がある」は、「予算・実績把握能力」と「部下の掌握力」が問われる場合が多いと思います。 まず「予算・実績把握能力」ですが、ITマネージャーは、自部門のみならず全社のIT予算の管理をする事が多く、それをビシッと出来るか問われるシーンが頻繁に見られます。IT関連投資は他の投資とは別扱いされる事が多く、その管理はITマネージャーに任される事が多い上に、IT開発関係の投資はITマネージャー専管事項となっている率が極めて高く、予算額が多い場合が多いので、その管理は全社的にも重要です。その一方、投資内容はITマネージャーしか把握していない場合も多く、この説明やどの程度カネを使っているのか等の説明がしっかり出来る事は重要です。また、この領域では「投資回収計算」もビシッと出来る必要があります。(一般的には、改善系のIT投資の回収期間は3年では長すぎで、2年以内に回収できる案件に投資すべき、と私は多くの会社を回った結果、思っています。) 以上に挙げたような「予算・実績把握」が出来れば、あなたは確実に経理マネージャーを味方に付けられます。ITマネージャーの重要な仕事が「カネ管理」ですので、経理マネージャーを味方につける効用は大きく、仕事がぐっとしやすくなります。是非ご実践下さい。

予算・実績把握と並んで重要なのは、「部下の掌握力」です。ITは経理以上に、部員が実施している業務が多岐にわたり、関連性が薄く、おまけに個々人が独立性の高い仕事をしているので、部員が何をしているのか、会社にとって本当に役立つ事をしているのか、の把握は、経理のマネージャーに比べてはるかに難しいと思います。しかしそれができなければ、組織バラバラ、モチベーションガタガタ、しかも部下は反抗的、になりかねません。一方、IT部門は管理系部門の中で、唯一「戦略的」かつ「攻撃的」に会社運営に関われる部門です。戦略的視野を持ち、高いモチベーションを持った部下が多いIT部門に出来れば、最高に面白い仕事ができると思います。

別の観点からITマネージャーを見てみると、ITマネージャーは経理、人事、ITの三業務の中で、最も自分が担当として実施してきた業務(数値中心のテクニカルな具体的業務)と、マネージャーになってから期待される業務(管理的・戦略的業務)にギャップがある気がします。これがあるからでしょうか、優秀なIT部員が多くいながら、IT部門長は他の部署から人が回ってきている、といった例も多く見られます。もったいないです。この辺りを改善し、キャリアアップを考えながら仕事を進める場合、ビジネススクールの戦略・会計・人事・組織論などの授業を受講する等の自己啓発が有効かもしれません。是非ご検討下さい。

以上、「経理育ちの本社責任者」の目から、ITマネージャーを語らせて頂きました。問題発言もあったかと思いますがお許し下さい。次回は人事マネージャーを考えてみたいと思います。

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プロフィール

井筒 廣之
1984年、日系メーカー入社。経理屋として仕事を始める。
1990年、社内ベンチャーに挑戦、一応成功する。
1997年、メーカー退職、本当のベンチャー企業に挑戦。資金難で「胃が口から出そうな」苦しみを味わう。
1999年、大手飲料会社の管理課長として転職。管理部長に昇進。
2004年、商社CFOとして転職。
2007年、マンパワー・ジャパン(現マンパワーグループ)入社。
2014年、取締役代表執行役社長退任。

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