Vol.10 売れる管理部門・管理職

さすらいながら学んだ経理屋の
ノウハウをお伝えします

売れる管理部門・管理職

前回から新展開が始まりました。新シリーズに名前を付けるとすれば、「売れる管理部門・管理職」と言う事なのかな、と思っています。

今回は、まずいきなり転職市場の説明から入ります。現在の管理職の転職市場は、求職者と求人企業をマッチングさせる際、ファンクション(職能)別に「合わせこむ」メカになっています。ほとんどの人材紹介会社は、転職候補者をまず、「経営・マーケティング・経理・IT・人事・その他」と言った専門領域ごとに分類する所から仕事を始めます。
これらカテゴリーの中で、「経営」は過去の実績がモノを言いますし、個別具体的な案件ごとにスペックが全く異なるので、このカテゴリーを「狙って当てる」のは、なかなか困難です。
次に「その他」カテゴリーですが、主だったものでコンプライアンス・法務・生産管理・経営企画等々が入りますが、ボリュームは限られています。それはつまり、「自分が会社を辞めた時に、この「その他領域」で次の適切な仕事がある確率が低い」と言う事になります。「市場」は、需要と供給の双方にある程度ボリュームがないと成り立ちません。需要が少ない領域で自分を「売ろう」とすると、かなり苦戦します。その「苦戦」とは、「次の仕事が見つかるまでの時間が長くかかる」上に、「いざ候補が出た時、複数の候補企業がなく、与えられた条件で話を受けるか否かの選択肢しかなくなる」と言う2点につきますが、この2点は転職をしてみますと、如何につらい事か、お判りの方が多いと思います。
次はマーケティングですが、これは特定商品に関する知識があるかないかで採用・不採用が決まる場合が多く、その意味で特定の仕事に自分がフィットするかどうか、はかなり高いハードルになりがちです。
そうなると、残った「経理・IT・人事」が、比較的求職者・求人会社も数がまとまっているため市場として機能しており、求職者はストレスがはるかに少なく転職できる、と言う訳です。
つまり、「一定の管理部門」の方が、「売れる管理職になりやすい」と言う事を申し上げたかったのです。

次に、上記で述べたような「一定の管理部門・管理職」は、会社が求めるスペックと、年収が比較的明確に出ており、「何ができればいくらで売れるか」が判り易く、求職者も「傾向と対策」を立てやすい面があるため有利ではないか、と私は考えています。例えば、私が人材紹介部門の責任者をしていた2008年ころの東京市場の数値は、「中堅外資系CFO」とくれば「1,800万円~2,000万円」でした。同じように語り続けると、「外資系CIOはCFOよりやや高め」かな、と思いましたし、「外資系HR責任者とくればCFOより1~2割程度低目」だと思っていました。
この数値、リーマンショックを経た昨今は落ち気味と思いますが、ファンクションと肩書で相場を語れる、と言う基本線は変わっていないと思います。
会社にとっては、正直言ってファンクション系管理職*1より、事業部門系の管理職の方が重要なはずですが、給与はファンクション系管理職の方が高額になっている例が多いのが実態です。その点でも、求職者にとっては「管理部門・管理職」の方が有利だと私は考えます。

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*1ファンクション系管理職とは
総務・経理・人事・法務など、企業において効率や収益を高めるために営業活動を管理し、間接的に支援する職能別部門、いわゆる管理部門や間接部門などの管理職のこと。

では、次に「売れる管理職・管理部門」に必要なスペックを考えてみます。
経理、人事、ITを問わず、全てのファンクションで共通に必要な資質は、まずは以下の4つだと思います。

①自分の上司の意向に沿って話の展開を考える事が出来る事
会社や上司に媚びを売れ、と言わんばかりのコメントで、萎える方も多いかと思いますが、組織の力は、結局上司・自分・部下をどこまでチームとしてまとめられるか、にかかってきます。ところが、どうしても必要以上に上司に逆らってしまう方は結構な確率でいます。重要なポイントです。かく言う私もこの点、要注意なんです。

②業務遂行に必要な知識がある事
これは当然、ファンクションごとに必要な知識があります。これは次回以降で説明します。一方、どのファンクションでも必須だ、と敢えて言いきるべきは「英語」です。英語が「英検1級・TOEIC900点」程度ないと、外資系・ファンクション系管理職はなかなか務まりません。外資系に転職し、ステップアップしないと、一生転職市場で「食いつないでゆく」のは容易ではありません。英語が苦手な方は、これを職務上の経験等で補う必要があると思いますが、「売れ線」を外すことになるのは事実で、リカバリーは容易ではありません。

③アクションプランを創る能力がある事
上記①の「会社の意向」と②の「専門知識」があるだけではダメで、これらを組み合わせて自分の部門として必要とされる具体的なアクションプランを創る事が必要です。これが「まとも」なプランなら、大抵の部下は付いてくる、と私は信じます。

④人材紹介ビジネスの方を4人(=4社)程度、友人として持つ
転職しながらステップアップしようと思われる方は、自分が属する転職市場がどう動いているのか、その中で自分のポジションがどうなのか、をプロの方がどう見ているのか絶対に知っておく必要があります。
次に、なぜ4人必要か、と言いますと、人材紹介ビジネスは、小さな会社が多い上、ヘッドハンターは大抵「一匹狼」的な方々で、特定の一人のヘッドハンターと話ができても、全くと言っていいほど市場そのものを語っていません。必ず複数人数、しかも大手、外資系、ファンクション特化、などと言った特徴を持った会社のヘッドハンターと、本音で語れる事が必要です。
一方、ヘッドハンターもそんなあなたを待っているのです。結局の所、多くの転職者は5年に一度くらい転職します。一度「使える候補者」と出会えれば、ヘッドハンターは何度も売上を上げるチャンスが来るので、良い候補者を見出し、そのような方を大切にするのは、絶対必要な事なのです。そのような良い候補者をたくさん持ったヘッドハンターには、良い案件が集まり、更に候補者が集まってきます。ですから、ヘッドハンターも候補者と極力「長い付き合い」に持って行きたく思っています。

以上、少し長くなりました。今回はこの辺りで終了し、次回から各ファンクション系管理職の必要知識とは何か、について考えてみます。

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プロフィール

井筒 廣之
1984年、日系メーカー入社。経理屋として仕事を始める。
1990年、社内ベンチャーに挑戦、一応成功する。
1997年、メーカー退職、本当のベンチャー企業に挑戦。資金難で「胃が口から出そうな」苦しみを味わう。
1999年、大手飲料会社の管理課長として転職。管理部長に昇進。
2004年、商社CFOとして転職。
2007年、マンパワー・ジャパン(現マンパワーグループ)入社。
2014年、取締役代表執行役社長退任。

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